【70歳就業時代到来! 高齢者の労務管理】第14回 労働条件の決定 妥協ラインの設定を 交渉前に需要や事情探り/川嶋 英明
2025.04.10
【労働新聞】
「仕事そのもの」より収入が目的
高齢者を定年再雇用するに当たって、最終的な労働条件の決定には個々の労働者との話合いが不可欠となるので、今回はその労働者との交渉と労働条件の決定についてみていく。
そもそも交渉とは、お互いに要望や言い分があるなかで、双方が納得できる結論を出すことがその目的にある。故に、こちら側の要望ばかりを押し付けても上手くいかないが、相手の要望ばかり聞くわけにもいかない。時には妥協が必要だ。この妥協点について、会社側はともかく、高齢者側がどこまでなら妥協できると考えているかを正確に知ることは難しい。ただ、高齢者側の需要や事情を探れば、ある程度は推測できるし、それを元にした交渉前の事前準備も可能となるので、以下で検討していく。
まず、高齢者の働くことへの需要、つまり、就労意欲については、政府の統計をみる限り、基本的に低くない。ただ、海外と比較すると、海外では「仕事そのものが面白い」という理由から就労を続ける人が多い一方、日本では「収入がほしい」ことを理由に、高齢になっても働き続ける人が多いのは気になるところだ。金額次第で、交渉が決裂する可能性が高いといえる。
必要とする収入がどの程度かは個々の高齢者次第とはいえ、収入が必要な事情自体は推測できる。たとえば、…
筆者:社会保険労務士川嶋事務所 代表 川嶋 英明
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令和7年4月21日第3493号13面 掲載