【人事学望見】第1113回 勤務地限定契約ない転勤 幹部社員なら暗黙の合意がある
2017.08.25
【労働新聞】
現地採用で慣行上転勤がなかった工員を転勤させるには、本人の同意が必要。ただし、就業規則上の転勤条項を明確に承知したうえで採用され、転勤の趣旨が余剰人員の雇用の維持にあるようなケースでは一方的な転勤命令も有効とされる(菅野和夫東大名誉教授)。
合併しても通らぬいい分
グリコ協同乳業事件(松江地判昭47・2・14)は、大卒者が企業合併に巻き込まれ、転勤命令を不当と訴えたもの。
事件のあらまし
本社を大田市(島根県)に置き、Aは入社以来、決算業務上の事務業務に従事してきたが、関係各社と合併してできた新会社は、Aに対し、山陰事業部から中国事業部(広島県)のセールス系統職種への配転を命じた。Aは入社以来、大田市に自宅を構え両親、妻と同居していたが、父は負債を抱えた会社を経営、母は肝硬変を患い安静加療中であり、妻は勤務先を辞め、母の看病と家事に従事する状態だった。…
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平成29年8月28日第3126号12面 掲載