【落語家柳家小満ん ちょっと一席風流噺】第4回 堀口大學
2016.02.29
【労働新聞】
若き日の堀口大學がマドリードに居た頃、マリー・ローランサンのお供をして、プラド美術館へ入ったという。ここには、スペインの画家ゴヤの「マハ」がある。肉感的なセビリア女性が長椅子で寛いでいる絵が2枚、着衣と全裸で並べられている。
この絵の最初の持ち主は、2枚の絵を重ねておいて、着衣の方のマハを見せてから、裸体のマハを見せたという。若き大學は一人で何回となく2態のマハに逢いに行っていたが、弱冠23歳の繊細な詩人は、着衣のマハの手前、どうしても全裸のマハが正視できないでいた。…
筆者:落語家 柳家小満ん
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平成28年2月29日第3054号7面 掲載