【落語家柳家小満ん ちょっと一席風流噺】第8回 蕎麦切り
2016.03.28
【労働新聞】
江戸小咄を一つ、題名は「そばきり」。
鯨ひさびさにて品川へ来たりければ、小魚集まり「此処へよくこそ親分は来たりしぞ、なんぞ馳走をせん、のぞみ給へ」といふ。鯨「いやいや、みちみちも鰯を万と食べて来たりしゆえ、外のものは望みなきゆえ、蕎麦にてもふるまはれよ」といへば、「蕎麦は、なによりやすき事」と、さっそく蕎麦をあつらへに行かんとするを、鯨よびかへし「コレ、かならず、もり(銛)は、ごめんだ」
(寛政10年刊『松魚風月』)…
筆者:落語家 柳家小満ん
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平成28年3月28日第3058号7面 掲載