【裁判例が語る安全衛生最新事情】第283回 料理店経営者事件② 注意後のミス繰返しに過失認め5割減 福岡高裁平成29年1月4日判決
2017.10.26
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Yは、和食・懐石料理の料理店T庵を経営している者である。亡Aは、平成22年10 月ごろからT庵に勤務するようになった。T庵のスタッフは、Yと亡Aだけであったが、繁忙時にはYの母親と臨時のパートが手伝うこともあった。亡AのT庵での職務内容は、客室の清掃、接客、配膳、下膳、パソコンによるホームページの管理、金銭の収支の管理であり、たまに、弁当の注文を受けたときには盛り付けを手伝うこともあった。また、亡Aは、出勤する前に食材の買い出しを担当することもあり、帰宅が午前零時ころになることも多かった。
Yは、亡Aに対して厳しく、失敗を繰り返すと激しく叱りつけ、顔を殴るなどの暴行を行うことがあった。平成23年3月ころから、亡Aは眠れなくなり、平成23年4月ころからは自宅に引きこもるようになり体重も激減した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成29年11月1日第2293号 掲載