【“過労死ゼロ”を実現するために】第17回 民間団体の活動支援(1) “国民的運動”をめざし 行政と民間の協力・連携
前回まで6回にわたり啓発に係る取組みについて解説した。今回と次回は民間団体の活動に対する支援について、「過労死等の防止ための対策に関する大綱」(以下「大綱」)の内容と取組み状況について説明する。なお、対策のもう一つの柱である相談体制の整備ついては、本連載第20回で解説する。
1 民間団体の活動に対する支援の基本的考え方
大綱では、民間団体の活動に対する支援の基本的考え方として、次のように記述されている。
過労死等を防止する取組みについては、家族を過労死で亡くされた遺族の方々が悲しみを乗り越え、同じ苦しみを持つ方々と交流を深めていく中で、それぞれの地域において啓発・相談活動を展開する民間団体や、全国規模での電話相談窓口の開設などを通じて過労死等で悩む労働者やその家族等からの相談に携わっている弁護士団体が活動している。さらに、これらの団体および国・地方公共団体との連携の要となる民間団体や、研究者、弁護士等の専門家が研究会や啓発活動等を行う民間団体の組織化が行われている。
また、産業医の育成や研修等を通じて、過労死等の防止に向け活動している民間団体もある。
過労死等の防止のための対策が最大限その効果を発揮するためには、このような様ざまな主体が協力および連携し、国民的な運動として取り組むことが必要である。このため、過労死等の防止のための活動を行う民間団体の活動を、国および地方公共団体が支援するとともに、民間団体の活動内容等の周知を進める必要がある。
2 民間団体の活動に対する国が取り組む重点対策
さらに、大綱では、国が取り組む重点対策の中で民間団体の活動に対する支援として、「過労死等防止対策推進シンポジウムの開催」、「シンポジウム以外の活動に対する支援」および「民間団体の活動の周知」に分けてそれぞれ取組みが次のとおり示されている。
(1)過労死等防止対策推進シンポジウムの開催
過労死等を防止することの重要性について関心と理解を深めるため、民間団体が取り組むシンポジウムを支援して開催する。
(2)シンポジウム以外の活動に対する支援
民間団体が過労死等防止のための研究会、イベント等を開催する場合、その内容に応じて、事前周知、後援等について支援する。
(3)民間団体の活動の周知
地方公共団体、労使、国民等が、民間団体が開設する窓口等を利用したり、協力を求めること等が円滑に行えるよう、民間団体の名称や活動内容等についてパンフレット等による周知を行う。