【人事学望見】第1120回 あくまで濫用を戒める法理 相当性あるなら恐れず対応する
2017.10.19
【労働新聞】
労契法16条に解雇権濫用法理が明定されて以来、労働者にとっては「伝家の宝刀」的頼もしい存在となった。この状況下、裁判例で労働者敗訴となったものの多くは、濫用法理の適用なしという結論が導き出されていった。当然のことながら非違行為は目に余るほどひどい。
労働者側は頼りにしすぎ
出来心といえばちょっと同情の余地がありそうだが、金銭を扱う部署の職員が手を染めたというのはしゃれにもならない。さしずめ上田株式会社事件(東京地決平9・9・11)はその典型といる。
事件のあらまし
会社名義のクレジットカードのクーポン券を集め、6年間で14万円相当の商品券などを取得したAの行為が発覚して、会社は解雇した。
経理課員であるAは、同僚とともに会社の代表者が名義人であるクレジットカードの利用明細書に添付されてくる応募シールを集め、代表者の氏名を無断で記入したうえでカード会社に送付し、カラーテレビやギフトカード(14万円相当)を6年間にわたり不正取得したことから解雇された。
当初会社は、業績不振を理由に、その後は能力不足を理由に退職勧奨を行ったところ、…
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平成29年10月23日第3133号12面 掲載