【人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~】第5回 人の経験や暗黙知の活用 不正行為発見に貢献 “教師データ”から学習し/武田 秀樹

2016.05.02 【労働新聞】
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少量のデータでもOK

 一連の作業で注目すべきは、人工知能を活用するために「整理されたビッグデータ」が必ずしも必要ではないことである。不正調査の解析を行う際に、弁護士が“教師データ”として学習させたメールは、おおむね10通~数百通程度の分量、少ない場合は数通程度の場合もある。分類は「いる/いらない」と仕分けするだけで学習させることが可能だ。

 人工知能を活用する場合、「分類済みのデータが十万、百万単位で必要」といわれるケースがあるが、KIBITの場合は、少量のデータで解析を行うことができる。

 ビッグデータを活用するために、人が延々とデータの分類を行うのは本末転倒であり、それよりも「何を学習させるか」、「解析結果からどのような行動を取るか」に注力することが重要となる。データの仕分けやデータを読んで分類する単純な作業は人工知能に任せ、人間は人間にしかできない「判断」と「行動」に時間を割くべきだ。このように、人工知能を選ぶ際は、学習効率という基準や人間の能力を適用する範囲が重要となってくる。

 次回以降の連載では、法律分野で培った人工知能関連技術を用いて、さらに幅広い業務の領域である営業活動やコールセンターなど、どの企業でも必ず行われている業務において、「何を学ばせ」「何を探す」ことで活用できるか、紹介していきたい。

筆者:㈱UBIC執行役員CTO 行動情報科学研究所所長 武田 秀樹
たけだ ひでき
1996年、早稲田大学を卒業、専攻は哲学。自然言語処理を応用した情報発見を得意とする。
複数のベンチャーで新規事業の立上げに参画後、2009年にUBIC入社。人工知能「KIBIT(キビット)」の研究開発を指揮する。
言語処理学会、人工知能学会会員。

平成28年5月2日第3063号13面 掲載
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