【人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~】第6回 「お客様の声」の分析 欲しい情報を抽出 エキスパートと同じ視点で/武田 秀樹
2016.05.16
【労働新聞】
「お客様の声」を抽出する際、従来から用いられてきた「キーワード検索」や「テキストマイニング」は、指定された言葉をピンポイントで発見したり、コメントに頻出するキーワードやその組合せの傾向を捉えたりできるが、「本当に必要なコメント」を直接抽出することは難しい。図の「改善要望」や「テイスト」の例のようにキーワードの指定が難しく、ただ「美味しい」という言葉を抽出しても、本来見つけ出したいコメントとは異なる。
このような場合に、人工知能を活用することができる。マーケティング、購買、店舗管理など、各部署のエキスパートが発見したい文章の例を人工知能エンジン「KIBIT」にあらかじめ学習させておけば、エキスパートと同じ基準・視点に基づいて、「お客様の声」を直接抽出することができる。つまり、エキスパートの“暗黙知”を学習させて活用することができる。
あるアパレルメーカーでは、ECサイトに寄せられたコメントから「色柄」「フィット感」「他社比較」「改善要望」といった項目を含むコメントを抽出することが、従来の技術では難しかった。しかし、KIBITを導入することにより、沢山のコメントの中から抽出した上位50件のコメントの88~100%が、各部署がまさに知りたい情報としてピックアップされるという、高い精度を得られた。KIBITを使うことで、担当者は効率良く、自分の知りたいコメントをみることができる。
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平成28年5月16日第3064号13面 掲載