【人事学望見】第1068回 死に追いやった職場いじめ 会社も債務不履行責任問われる
2016.09.12
【労働新聞】
職場いじめについて使用者の不法行為責任が認められた裁判例をみると、使用者の行為態様がその権限(業務命令権、人事権など)の範囲の逸脱、濫用と評価され、労働者の権利の侵害と損害の発生(人格権、名誉の侵害、精神的苦痛など)を認めている。
安すぎるかいのちの値段
二十数年前の判決(松陰学園事件=平5・11・12東京高判)だが、高校の教師が産休を2回取得し、産休期間すべてを休んだことにより、いじめにあった。現時点では考えられないことだが、当時の教職員の間では「産休を自制するような雰囲気」があったから、「産休は権利」と主張する教師の態度は、学校側に強い不快感を与えたようだ。当初の嫌がらせは、1日で行うことは到底不可能な職員室の時間割ボードの書き直しなどだが徐々にエスカレートしていく。
担当していた授業、クラス担任その他校務分掌の仕事から一切外された。4年6カ月間にわたって1人だけ別室に隔離され、さらに5年余の長期間にわたる自宅研修が命じられた。執拗な嫌がらせに教師が耐えられたのは、労働組合を結成し、自ら委員長として戦う闘士だったからだ。…
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平成28年9月12日第3080号12面 掲載