【人事学望見】第1069回 業務命令と賃金請求権 指示以外の仕事に支払義務なし
2016.09.19
【労働新聞】
従業員が会社に賃金の支払いを請求できるのは、労働契約に従って労務というサービスを提供する対価としてである。このサービスは労働者が勝手に考えて行うものではなく、会社(上司)の指揮命令に従って機械的にではなく誠実に行うべきものである(岩出誠弁護士)。
組合活動に絡んで発生
ここで論じられているのは、もちろんサービス残業といった性格のものではなく、所定時間に上司が指示した業務の内容・遂行方法、場所、時期などに従って行う業務。法廷で争われることになるのは、組合活動に絡んだものが多く、所定労働時間目一杯働いたと主張しても、「指示した以外の仕事」は、労働契約にいう労務の提供ではないから、賃金の支払いに応ずる必要はない。
熊本営林局多良木営林署事件(昭56・12・6福岡高判)
事件のあらまし
作業主任者との併任を命じられた営林署の常用作業員が、集材機運転者の欠員補充問題につき組合との間で解決がみられるまで右作業主任の辞令書を返上するとして…
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平成28年9月19日第3081号12面 掲載