【人事学望見】第1071回 就業規則の周知は大丈夫か 効力要件としてまず吟味される
2016.10.10
【労働新聞】
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成を課し、所轄労働基準監督署への届出義務(89条)、過半数代表者の意見聴取義務(90条)、法所定の周知義務(106条)を定めている。このうち周知義務については法廷で効力要件が争われていた。
退職予定者への賞与差別
周知については、フジ興産事件(平15・10・10最二小判)で、「賞与支給日において退職予定の労働者に賞与を支給しない」とする就業規則が、労働者に実質的に周知されていない場合、当該就業規則に効力はなく、この規定を理由に賞与を不支給とすることは許されない、と判示されたことに代表される。
とはいうものの、平穏無事な事業場では、就業規則の存在すら意識する者は少なく、事務所の戸棚でほこりをかぶったままということも少なくない。ところが、この無関心が後に火の粉となって降りかかってくる。…
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平成28年10月10日第3083号12面 掲載