【人事学望見】第1072回 転勤命令と権利の濫用 業務上の必要性が最重視される
2016.10.17
【労働新聞】
転勤命令が権利濫用をめぐって争いになるときは、①人員選択の合理性②転勤命令が不当な動機・目的(嫌がらせによる退職強要など)でなされているか否か③当該配転が労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものか否かについて審理される。
合理的運営に寄与するか
配置転換が有効とされたモデル裁判例として挙げられるものに東亜ペイント事件(昭61・7・14最高裁二小)がある。
この事案は、配転命令を受けたAが、「家族との別居を余儀なくされるという家庭生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度を著しく超えている」と訴え、第一審(大阪地裁)、第二審(大阪高裁)では「転勤命令は権利濫用である」とされたものの、最高裁では「転勤命令は業務上の必要性が優に存在する」と敗訴となってしまった。…
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平成28年10月17日第3084号12面 掲載