【人事学望見】第1094回 就業規則の不利益変更は可能か 既得権利の侵害を代償で補えば
2017.04.03
【労働新聞】
労働条件を定型的に定めた就業規則は一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものである限り、経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立していて法的規範性は認められている。
合理的なら従う義務あり
これは秋北バス事件最高裁大法廷判決(昭43・12・25)から導き出されたもの。判示は「新たな就業規則の作成変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは原則的に許されないと解すべきであるが、労働条件の画一的処理、とくにその統一的かつ画一的な就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者においてこれに同意しないことを理由としてその適用を拒否することは許されない」というものだった。
大曲市農業協同組合事件(昭63・2・16最小三判)はこの考えを踏襲した。
事件のあらまし
7つの農協を合併して誕生した新農協で新たに作成・適用された就業規則上の退職給与規定が、旧A農協の退職金支給倍率を低減させる内容だった。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成29年4月3日第3107号12面 掲載