【人事学望見】第1097回 採用内内定取消しと法理 留保解約権付労働契約を認めず
2017.04.24
【労働新聞】
日本経団連の企業倫理憲章では、就職内定については10月1日以降に行うよう指導している。一般にはこの日以前から労働契約交渉が行われており、学生は複数の企業から内内定をもらい、内定解禁日に1社に絞る。逆にこの内内定を取り消したときはいかなる事態になるか。
通知が遅く信義則に違反
係争事案となるケースは多くないが、不動産会社から内内定を取り消された就活大学生が損害賠償金を請求したのがコーセーアールイー事件(平23・3・10福岡高判)。内内定は内定とは異なり、未だ始期付解約権留保付労働契約は成立していない状態といわれている。いかなる結論になったのだろうか。
事件のあらまし
Y社は、不動産売買を行う株式会社。Aは、平成21年3月に大学を卒業する予定の者であり、Y社から採用の「内内定」を受けていた。平成20年5月30日頃、Y社から「採用内内定のご連絡」と題する書面(内内定通知および入社承諾書)を送付され、同31日付けで入社承諾書に記名、押印して返送した。…
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平成29年4月24日第3110号12面 掲載