【“制約社員”の活躍レシピ!!】第20回 短時間正社員という制約社員(上)/木谷 宏
2017.11.28
【労働新聞】
女性、高齢者、要治療者、外国人とみてきた制約社員の類型最後は「短時間正社員」である。まずは「正社員」対「非正社員」、「フルタイム」対「パートタイム」というこれまでの二項対立を融合した新たな概念の登場についての説明から入るが、その秘めた可能性の大きさを筆者は指摘する。国も期待をかけているが、導入がおぼつかない現状もある。
秘めたる可能性は大 新たな社会へ国も期待
新しい概念と単語が誕生
1 「正規」と「非正規」を超えて
社会言語学において有名なサピア=ウォーフの仮説がある。これは、「言語はその話し手の世界観に影響を与え、あるいはさらに支配さえもすることによって、その社会を左右する」というものである。たとえば英語には雪(snow)を表す単語は一つしかないが、エスキモー(イヌイット)語には多数存在する。同様に北スカンジナビアのラップ語ではトナカイに関係した単語がたくさんあり、日本でもブリなどの出世魚は成長過程で細かく名前が付いている。生活において重要な事象に関しては、細かな差異を区別することが必要な例である。
「正社員」「非正規社員」などのように働く人々を表す単語も多数存在する。たとえば「短時間正社員」という言葉を私たちが聞いた時に感じる不思議な感覚は何であろうか。それは「短時間」働く(しか働かない)にもかかわらず「パートタイマー」といわない違和感だが、これには理由がある。…
筆者:県立広島大学 経営専門職大学院 教授 木谷 宏
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平成29年11月27日第3138号11面 掲載