【裁判例が語る安全衛生最新事情】第202回 慶応義塾事件 シックハウス症候群での退職と慰謝料 東京高裁平成24年10月18日判決

2014.06.01 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 原告Xは、日本語・日本文化センター被告Yに1年間の有期雇用の助手として採用された(但し、契約が更新されても3年を限度とするとされていた)が、勤務していた部署が新たに建築された仮設棟に移転したところ、間もなく体調不良となり、移転後約1カ月で出勤できなくなった。そして、Xは出勤できなくなってから約3カ月後にYに対して退職届を提出した。

 その後、Xは、体調不良の原因は、仮設棟一室での勤務により、Xがシックハウス症候群、または多種化学物質過敏状態に罹患したためであると考え、退職の意思表示は私傷病で体調不良であると考えたからであるから、それが業務上の疾病だとしたら要素の錯誤であり無効であるので、雇用関係の確認を求めるとともに、Xがシックハウス症候群、化学物質過敏症に罹患したのは、Yの雇用契約に基づく安全配慮義務違反であるとして医療費と500万円の慰謝料請求を求めた。…

執筆:弁護士 外井 浩志

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平成26年6月1日第2211号 掲載
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