【裁判例が語る安全衛生最新事情】第175回 渡辺工業事件 石綿肺罹患者への損害賠償(慰謝料) 大阪地裁平成22年4月21日判決
2013.04.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y会社は、石綿製品の製造販売その他のパッキングの販売などを業とする会社である。原告X1(女性)は、昭和37年から昭和59年まで、1年ほど中途で退職していた時期を除き、約21年間、Y社の工場において、農耕用クラッチ(クリソタイル)の組立、ブレーキライニングのグラインダーなどによる研磨作業などの際に粉じんにばく露して、平成18年1月に石綿肺、肺結核などの肺疾患となり、同年11月にじん肺管理区分2の認定を受け、平成20年1月には胸膜肥厚、結核性胸膜炎などと診断され、平成21年3月にはじん肺管理区分4の認定を受けた。原告X2はX1の娘であり、寝たきりに近い状態となった母であるX1の介護をしている。
原告X1、X2は、被告Y社の安全配慮義務違反または不法行為を理由として、X1は慰謝料として3300万円を、X2は慰謝料として330万円を、被告Y社に対して請求する損害賠償請求訴訟を提起した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成25年4月15日第2184号 掲載