【裁判例が語る安全衛生最新事情】第178回 本田技研工業事件 自動車整備工中皮腫発症への損害賠償 東京地裁平成22年12月1日判決
2013.06.01
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告はY社、大手の自動車メーカーである。原告Xは、昭和43年4月に、被告Y社の子会社であるS社に採用され、1年7カ月間その工場で自動車整備工として勤務した。その後、Y社はS社を吸収合併している。原告は、S社を退社した約37.5年後に悪性中皮腫を発症し、S社を吸収合併したY社に対して、S社の安全配慮義務違反を理由として損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、粉じんばく露と中皮腫の因果関係
本件工場において、工場全体に粉じんが立ちこめるような状況であったとまではいえないにしても、狭い空間にリフトアップまたはジャッキアップされた自動車が数多く並び、その下に潜り込むような形で整備作業が行われていたことから、整備員1人当たりの作業空間は相当に限られていたものであり、そのような空間においてXは、使用が黙認されていたエアガンを用い、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成25年6月1日第2187号 掲載