【裁判例が語る安全衛生最新事情】第186回 三菱重工下関造船所事件 じん肺管理区分決定とじん肺罹患認定 山口地裁下関支部平成23年6月27日判決
2013.10.01
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
造船所で働いていた元従業員ら3人(X1、X2、X3)とその遺族である原告A(なお、被相続人である元従業員は亡B)は、被告Y社に対して、アスベストを含む粉じんによりじん肺症に罹患したとして、損害賠償請求訴訟を提起した事案である。なお、X1~X3、亡BはY社に雇用されていた者ではなく、下請業者の従業員たちである。
また、X1~X3らは、必ずしも大量に粉じんをばく露する粉じん作業を行っているわけではない。具体的には、X1は仕上工として機関室内の機械機材の分解修理、取付けなどの作業を、X2は木工大工として新造船の内装工事を、X3は船内装飾として船室内の清掃や大工補助をそれぞれ行っていた。但し、亡Bは機関室内タンク清掃の時期もあるが、アスベストの加工取付け作業を行っていた時期もあった。亡Bのアスベスト加工取付け作業を除いては、X1らは酸化鉄粉じん、アスベスト粉じんを高濃度で暴露する状況ではなかったと思われるが、造船所内であるから、作業現場には酸化鉄粉じんやアスベスト粉じんが皆無ではない状況であったものと思われる。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成25年10月1日第2195号 掲載