【産業カウンセリングの現場から】第39回 コミュニケーションがアイデア生む
泣きわめきながら扉叩く
平成9年6月に、古河電工㈱の役員を退任しグループ会社の古河物流㈱の社長に就任した。北海道から九州まで全国に12カ所ある支店と製品センターをまわって社員と面接をした。
社員は180人、製品センターに常駐している協力会社の社員を合わせると約100人。社員全員と各地の協力会社の幹部との面接には3カ月かけた。社員は業務改善や新しい事業の芽に関するアイデアを持っていることがある。現場にいてこそ分かることが少なくない。そうした改善提案や新しい仕事の種に関するアイデアを、社長である私にいつでも話しかけてほしい、そうした知恵の集積で会社を伸ばしていきたいと思うので、ぜひ力を貸してほしい、そういうメッセージを伝えていった。
昭和50年、第一次石油危機による経済の混乱の時期に本社のスタッフ部門から1200人ほどの工場の総務課長として赴任し、総務、人事・庶務厚生を担当することになった。直前に人事部から連絡があって、私が入る予定の単身者用借上げ社宅が「前任者の都合で1週間空かないので、駅近くのビジネスホテルに宿泊してくれ」というので工場作業者の独身寮に住みたいと申し出た。そこからだと工場から歩いて10分程度である。新しい総務課長が入寮してきたというので、顔を見に来る人もいる。「一丁もんでやろうか」ということで酒を飲んでやってくる者もいる。朝夕の食事が一緒、風呂も裸の付き合いだから親しい人も数人できて、その後、工場巡回する時に声をかけたり、かけられたりするようになった。…
執筆:日本産業カウンセリング学会 名誉会長 桐村 晋次
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