【産業カウンセリングの現場から】第46回 過保護的な対策に不信感
2013.04.15
【安全スタッフ】
うつの人に「頑張れ」は禁忌?
「うつの人に頑張れと言ってはいけない」という言葉は、わが国で最も有名なメンタルヘルスに関する格言ではないだろうか。この言葉の真意は、うつ病の症状が重篤な時期には、気持ちの落ち込みや意欲の低下が著明で、頑張りたくても頑張れない状況のため、頑張れと言われることで、さらに精神的に追い詰められてしまうから叱咤激励は避けるべきであるということである。しかし、中には、うつの経験がある人には、プレッシャーをかけると再発する可能性があるから、頑張れと言ってはいけないと誤解している人も多い。
もちろん、職場復帰する人に(というよりは、誰に対しても)過度な叱咤激励をすることは精神的なストレスを与えることになるため、好ましい行為とはいえないが、現実的には頑張らなくても勤まる職場など存在しない。普通の会話の中で「明日も頑張ろうな」と声をかけたら病状が悪くなってしまうような状態であれば、そもそも就業不能な状態と判断することのほうが正しいのではないだろうか。…
執筆:吉野聡産業医事務所 所長 ㈳産業保健法務研究研修センター 社員 吉野 聡
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平成25年4月15日第2184号 掲載