【裁判例が語る安全衛生最新事情】第219回 松山刑務所事件 運搬作業時の骨折で予見可能性認める 前橋地裁平成25年12月13日判決
2015.02.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
本件は、平成19年6月11日、刑務所に服役中のXが、炊事係の飯方としてコンテナの運搬作業に従事していたが、朝食の空下げの作業としてコンテナを7段積んで一人で持ち、4階から1階に階段を下りる際、階段を踏み外して、コンテナの食器などの崩れるのを防ぐため踏ん張ったために左足の大腿骨頸部を骨折したという事案である。Xは、その後空コンテナの運搬作業を続けた。Xは足の痛みが治まらず、職員にもそれを訴え、足に負担のかからない作業に切り替わったが、その後も痛みは治まらなかった。しかし、医師は、鎮痛剤を処方しただけであった。2週間後に外部の専門家に受診させたところ、レントゲン撮影の結果、両大腿骨頸部骨折を診断され、医療刑務所に移送され、除痛目的で左人工骨骨頭置換術が実施された。Xの後遺症としては、左股関節の可動域制限と右足の相対的短縮により足長の差が1.75㎝ついてしまったことであった。
Xは、被告国(Y)に対して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成27年2月15日第2228号 掲載