【裁判例が語る安全衛生最新事情】第235回 護衛艦たちかぜ事件② 自殺の予見可能性認め高額賠償に 東京高裁平成26年4月23日判決
2015.10.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告X1は亡Aの母、原告X2は亡Aの姉である。当初、亡Aの父とX1が原告であったが、一審途中で死去し、X1とX2がその地位を承継した。
亡Aは、平成15年8月に海上自衛隊横須賀教育隊に入隊し、護衛艦たちかぜの乗組みを命じられた。ところが、Y2が先輩隊員としており、後輩隊員が業務上のミスをした時やY2の機嫌が悪い時には暴力を振るうようになり、さらには、エアガンを持ち込んでBB弾を撃ち当てたり、サバイバルゲームと称して4~6人で互いにエアガンでBB弾を撃ち合うゲームへの参加を強要。また、アダルトビデオの購入を強制して金員を喝取したりするようになった。その結果、亡Aは遺書を残して自殺した。
X1、X2らは、被告Y1に対しては国家賠償法の責任を、Y2に対しては不法行為責任を追及するための損害賠償請求訴訟を提起し、一審判決(横浜地裁平成23年1月26日判決)は、Y1、Y2の責任を認めたものの自殺についての予見可能性を否定し、暴行と恐喝によって精神的な苦痛を受けたその慰謝料として400万円の支払いを命じた。控訴審では、その予見可能性の問題と、控訴審で被告Y1が本件自殺後にとったアンケートの結果の存在が明らかになり、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成27年10月15日第2244号 掲載