【人事学望見】第1129回 何かと話題集めた労契法20条 規定より世間並みを重要視する
2017.12.25
【労働新聞】
労働契約法20条に規定する「不合理な差別の禁止」をめぐって、本紙には地裁判決で衝撃を受けた読者からの質問が殺到した。その後、控訴審が逆転判決を出したことからホッと胸をなでおろした向きも多かったことで決着の付いた観のある長澤運輸事件を振り返ってみた。
継続雇用者低い賃率当然
事件のあらまし
セメント輸送会社を定年退職した後に期間1年の有期労働契約を締結して嘱託社員として再雇用された原審原告の運転者らは、無期労働契約の正社員との間の「賃金格差」が不合理であることを理由に、有期労働契約による賃金の定めが、「労契法20条」に違反し、無効であると訴えた。
具体的な主張は、主位的には、正社員用就業規則による賃金の定めが適用される労働契約上の地位確認、および差額賃金の支払いを求め、予備的には、労契法20条および公序良俗違反による不法行為に基づき、差額賃金相当額の損害賠償を求めた。
原審(東京地裁平28・5・13)判決は、主位的請求を全部認容している。これに対し、控訴審は、原審判決を取り消し、…
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平成29年12月25日第3142号12面 掲載