【裁判例が語る安全衛生最新事情】第246回 常磐山元自動車学校事件 津波で適切な避難怠った企業に責任 仙台地裁平成27年1月13日判決
2016.04.01
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
本件は、東日本大震災の地震発生後の、被告Y学校の自動車学校からの送迎バスに乗車中または徒歩で帰宅中に津波に遭い死亡した教習生25人とアルバイト従業員1人の遺族らが、被告Y学校らに対し、安全配慮義務違反を理由として損害賠償請求などをした事案である。
Y学校は、太平洋の海岸から750mの特に高台でない地点に位置していた。山元町の海岸には、海面から6.2mの海岸堤防が整備されており、本教習所の海岸からの高さは海面から6.2mであった。Y学校の教官らは、テレビ放送により予想される津波の高さが宮城県6m、福島県3mであるとする大津波警報(第1報)を知り、福島県に接した山元町内の海岸から約750m離れた場所に所在する教習所において津波が来襲してくることは予見していなかった。しかし、山元町、消防、警察は、大津波警報の発令や避難指示を広報車などにより広報し、教習所の前を通る県道でもこれらの広報車が走行していた。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成28年4月1日第2255号 掲載