【産業カウンセリングの現場から】第115回 「職業がん」の防止に向けて
2016.03.15
【安全スタッフ】
長い潜伏期間が…
2012年5月18日に印刷業における胆管がんが顕在化し、2015年12月18日に化学工場でオルト-トルイジンによるとみられる膀胱がんの発生が報じられた。いずれも世界でも初めての職業がんのようである。この事態は何なのかを考えてみたい。
職業がんは、1775年のパーシバル・ポット(英)による煙突掃除人の陰嚢がんが最初の発見といわれる。わが国では、1935年に八幡製鉄所の工場医であった黒田静、川畑是辰が3人の肺がんを診察したことから深く探求してガス発生炉作業で発生するタール成分が原因であることを突き止めてドイツの医学誌に発表した。
このように古くから知られていた職業がんに加えて、1975年前後に新たな職業がんが顕在化してきた。…
執筆:産業医科大学 産業衛生教授 元厚生労働省職業病認定対策室長 石井 義脩
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平成28年3月15日第2254号 掲載