【2020年4月1日施行 民法改正と人事労務】第1回 債権の消滅時効(1) 遡及払い2.5倍に 施行までに労政審で議論/片山 雅也
2018.01.15
【労働新聞】
民法の改正法が昨年5月に成立し、2020年4月1日に改正された民法が施行される。今回の民法改正は広範囲に及ぶため、人事労務分野への影響を正確に把握したいといったニーズが高まっている。
そこで、本連載を通じて、人事労務分野に影響がある改正民法の内容などを具体的に解説する機会をいただいた。連載第1回目となる今回は、債権の消滅時効の改正と未払い残業代への影響を取り上げる。
労基法により2年
改正前の民法の債権の消滅時効は、権利を行使することができる時から進行するとされ、10年間行使しないときは消滅するとされていた。
その上で、仕事の内容に応じて、1~3年までの短期消滅時効が多数定められていた。たとえば、医師の診療債権は3年の消滅時効とされるものの、料理店の飲食料については1年とされているなど、様ざまな種類の短期消滅時効が規定されている状況であった。さらに、ビジネスに関する商事債権については、取引関係を明確迅速に処理する観点から、民法ではなく商法522条によって、5年という短期消滅時効が定められていた。
それでは、労働者の給与については、民法上どのように規定されていたのだろうか。民法第174条1号によると、「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権」については…
筆者:弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士 片山 雅也
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成30年1月15日第3144号6面 掲載