【2020年4月1日施行 民法改正と人事労務】第5回 身元保証への影響(1) 多くは根保証に該当 限度額ないと効力生じず/片山 雅也
2018.02.12
【労働新聞】
前回は保証、根保証に関する改正について解説した。根保証については身元保証の実務への影響が予想される改正がなされたため、今回はその内容について具体的に解説する。
横領等で効力発揮
根保証の改正による身元保証への影響を解説する前に、身元保証の内容について解説しよう。そもそも、身元保証契約とは、労働者の行為によって使用者が受ける損害を賠償することを約束する旨の契約である。企業が労働者を採用する際、労働者の近親者などから身元保証書の提出を求める形式で行われることが多い。
昨今、身元保証人を要求しない企業も増えている印象もあるが、たとえば労働者が多額の横領を行い、労働者自身では返済できないような場合、資力のある身元保証人に対し、その横領による損害額を請求するといったようなケースでは、実効性を有する。
身元保証という言葉のイメージから、単に労働者の素性や経歴などに問題がないことを確認するといった程度に理解されがちであるが、一般的な身元保証書の内容は、労働者の行為によって使用者の受ける損害を、特段の限度額もなく保証する、…
筆者:弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士 片山 雅也
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平成30年2月12日第3148号6面 掲載