【人事学望見】第1135回 軟弱過ぎる時季変更権 確かに影薄いが勝訴例もちらり
2018.02.19
【労働新聞】
労基法35条5項但書の趣旨は「労働者が指定した時季に年次有給休暇を与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に年休を与えることを前提に指定された時季に年休を付与できない旨の意思表示をすることによって、労働者の時季指定を拒否できる」ということ。
休暇開始後に認められた
労働者の時季指定権と使用者の時季変更権は、いかにも対等な感を与えるがまったく違う。時季変更権は「事業の正常な運営の阻害」につき行使できるというが、この判断は実に厳しい。
裁判例では、その事業の規模・業務内容、当該労働者の職務内容・繁忙度、代替要員確保の困難度、代替による事業への影響の程度、休暇期間の長短などの要素を総合して判定している。数々の難関を突破しても、なおかつ、使用者は、労働者が希望した時季に年休が取得できるようにするのが「法の趣旨」というのだから、時季変更権の切れ味は鈍い。
この難関をクリアしたのが、電電公社此花電報電話局事件だが、スッキリとはいかない。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成30年2月19日第3149号12面 掲載