【人事学望見】第1138回 減給の制裁なぜ厳しい 既往の労働だから全額払い抵触
2018.03.12
【労働新聞】
労基法91条では、減給処分の制裁について厳しい制限を課している。これは減給の対象となる賃金が、すでに労働を提供して確保されているものだからだ。この既往の賃金から減額することは、法24条に定める「全額払いの原則」に反することになるためである。
賞与無支給規定は無効に
裁判例は少ない。しかも制限範囲は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない、というように細かい配慮を求めているため微妙である。ただし、91条にいう減給の制裁は、「従業員が具体的賃金請求権を取得していることを前提に従業員の非違行為に対する制裁として、これを減給する場合に適用される規定」であり、人事考課によって支給額が少なくなることについては、同条の適用はない。裁判には、この扱いをめぐる争いもある。
マナック事件(広島高判平13・5・23)は、勤務中にA会長を批判する発言等を同僚の前で大声でしたため、…
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平成30年3月12日第3152号12面 掲載