【人事学望見】第1142回 経営悪化と内定取消し 合理的理由認めても相当性否定
2018.04.05
【労働新聞】
内定取消しをめぐる裁判での使用者側の勝率は、極めて低い。人手不足のなか新卒者の「囲い込み」まがいの内々定や内定に走る企業は少なくないが、経営悪化という土壇場に追い込まれても、正社員の整理解雇よりは解約権は広いとはいえ、いい分を通すのは至難の技だ。
賠償額では片がつかない
ヘッドハンティングによって採用内定した労働者が、経営不振を理由にその取消しをいい渡されたのはインフォミックス事件(東京地決平9・10・31)である。会社は、雇用維持のため、配属部署の変更、取消しに応じた場合には相応の賃金補償をなすことなど、裁判所も「合理的」と認める対応を示したものの、労働者が受けた著しい不利益を考慮し、「ノー」の判定を下している。
事件のあらまし
Aは、前会社に在職中、Y社の役員、人事部長等と面接し、マネージャーとして入社するよう強く勧められた。Y社から送付された採用条件提示書および入社承諾書には、所属部署、マネージャーとして採用し、月給60万円の基本給、入社希望日等が記載されていた。…
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平成30年4月9日第3156号12面 掲載