【最近の書類送検事件】滋賀・大津労基署ほか
安全スタッフ、労働新聞の記者が全国で起きた書類送検を調査し、主な事件を掲載しました。カッコ内は、書類送検した日付。毎月1日号掲載。
滋賀・大津労働基準監督署は、トラックのあおりを閉じずに労働者を荷台に乗車させたとして廃棄物運搬収集会社と同社代表取締役を安衛法違反の疑いで大津地検に書類送検した。ごみ収集業務を行っていた労働者を荷台に乗せたままトラックを走行させたところ、道路に転落し、脳挫傷などを負ったもの。(H28・4・19)
石川・金沢労基署は、安全通路を設けなかったとして土木工事会社と同社現場代理人を安衛法違反容疑で金沢地検に書類送検した。調整池浚渫工事で側壁洗浄作業を行わせるに当たり、安全な通路を設置していなかったため、調整池の底に向かって通行していた労働者が調整池の底に転落し、重傷を負った。(H28・5・9)
宮崎・延岡労基署は、ドラグショベルの誘導者を配置していなかったとして、建設会社と同社現場所長を安衛法違反の疑いで宮崎地検に書類送検した。トンネルの掘削工事現場で、バックしてきたドラグショベルに労働者がひかれて、出血多量で死亡する事故が起きた。(H28・5・9)
福岡東労基署は、ミンチ機の投入口にフタや囲いを設けていなかったとして、食肉小売業者を安衛法違反容疑で福岡地検に書類送検した。スーパーマーケット内にある食肉販売店で、労働者がミンチ機を使用して食肉を加工する作業を行っていたところ、投入口に入れた右手がロール部分に巻き込まれ、手関節から先を切断したもの。(H28・5・12)
茨城・龍ケ崎労基署は、防網を張るなど墜落防止措置を怠ったとして屋根工事業の会社と同社代表取締役を安衛法違反の疑いで水戸地検土浦支部に書類送検した。資材置場新築工事で、労働者が地上から高さ4mの屋根下地に設置した足場板上で屋根取り付け作業を行っていた際、墜落する労働災害が起きた。(H28・5・18)
長崎・諫早労基署は、高さ2m以上の場所で作業する場合は作業床を設けなければならないが、これを怠ったとして旅館業の会社と同社代表取締役を安衛法違反容疑で長崎地検に書類送検した。労働者が会社所有の建物内で照明器具の修繕作業を行っていたところ、脚立から墜落。翌日、クモ膜下出血により死亡した。(H28・5・19)
和歌山・橋本労基署は、トリクロロエチレン取り扱い作業従事者に特殊健康診断などが未実施だったとして化学品製造会社と同社代表取締役を安衛法違反の疑いで、和歌山地検に書類送検した。同社の工場では、合成樹脂粉末を製造する過程で、特定化学物質であるトリクロロエチレンを溶媒として使用し、撹拌や加熱などの作業に労働者を従事させていたにもかかわらず、特殊健康診断を行っていなかったほか、作業場の作業環境測定も実施していなかった。(H28・5・20)
広島・福山労基署は、建設機械の作業計画を策定せず、運転中の建設機械に接触する危険のある箇所に立ち入り禁止措置を講じなかったとして、建設会社と同社現場責任者を安衛法違反容疑で広島地検福山支部に書類送検した。木造2階建て空き家解体工事現場で、ベランダが落下し労働者が下敷きになり死亡した労働災害が起きた。捜査の過程で、法違反の疑いが認められたもの。(H28・5・26)
島根・松江労基署は、墜落防止措置を講じていなかったとして建設会社と同社代表取締役らを安衛法違反の疑いで松江地検に書類送検した。木造家屋新築工事現場で、労働者が2階屋根の垂木固定作業中、母屋(屋根の骨組みとなる部材)上から約6m下の1階コンクリート土間に墜落し死亡した。(H28・5・27)
群馬・前橋労基署は、墜落防止措置を講じていなかったとして解体業の会社と同社取締役を安衛法違反容疑で前橋地検に書類送検した。建造物の解体作業を行っていた労働者が高さ3.1mの2階床面の端から墜落し、死亡する労働災害が発生している。(H28・5・30)
沖縄・名護労基署は、安全な通路を設けていなかったとして、農園の個人事業主を安衛法違反の疑いで那覇地検名護支部に書類送検した。農園内の溜池付近で労働者に作業を行わせていたところ、1人で作業していた労働者が溜池で溺死したもの。(H28・6・1)