【最近の書類送検事件】東京・足立労基署ほか
安全スタッフ、労働新聞の記者が全国で起きた書類送検を調査し、主な事件を掲載しました。カッコ内は、書類送検した日付。毎月1日号掲載。
東京・足立労働基準監督署は、石綿作業主任者を選任しなかったとして建設会社と取締役を安衛法違反の疑いで東京地検に書類送検した。解体工事で0.1%を超える重量の石綿が含まれるスレート波板を取り扱う作業だったが、石綿作業主任者を選任していなかった。(H28・3・14)
千葉労基署は、安全帯などを使用させなかったとして、造園会社と同社工事部長を安衛法違反容疑で千葉地検に書類送検した。公園・街路樹剪定作業を行っていた労働者が、はしごあるいは樹木上から約4m下の歩道に墜落し、意識障害を負う労働災害が起きている。(H28・3・14)
東京・渋谷労基署は、ローラーの作業計画の作成指導などを怠ったとして、建設業の元請けと同社現場責任者を安衛法違反の疑いで東京地検に書類送検した。道路復旧工事現場の道路交差点で、交通誘導を行っていた下請労働者にローラーが接触し死亡した。(H28・3・16)
大阪南労基署は、元請会社と同社現場所長らが墜落防止措置を怠ったとして、安衛法違反容疑で大阪地検に書類送検した。労働者が屋上で足場養生シートを折りたたむ作業を行っていたところ墜落し、意識不明の重体となった。屋上の端に囲いなどが設けられていなかったという。(H28・3・24)
大阪・淀川労基署は、墜落防止措置を怠ったとして、梱包業の会社と同社取締役を安衛法違反の疑いで大阪地検に書類送検した。労働者が、同社構内の高さ約2.8mの作業床上で商品の運搬作業を行っていたところ、作業床端の開口部から墜落し死亡する災害が起きた。(H28・3・25)
佐賀・唐津労基署は、安全帯を使用させなかったとして、瓦店と同社代表取締役を安衛法違反容疑で佐賀地検唐津支部に書類送検した。個人宅の屋根瓦葺き替え工事現場で、労働者が高さ約5mの屋根から墜落して死亡する労働災害が起きている。(H28・3・25)
大阪・西野田労基署は、機械運転開始時の合図を行わせなかったとして、金属製品製造会社と同社代表取締役を安衛法違反の疑いで大阪地検に書類送検した。労働者が自動梱包機を使って壁材の梱包作業を行っていたが、作業不良が発生したために機械を止めた。運転を再開するに当たって、一定の合図を定め、合図者を指名して合図をさせる措置を怠っていたため、労働者が機械に挟まれて死亡した。(H28・3・30)
広島中央労基署は、クレーンのつり荷の下に労働者を立ち入らせたとして、建設会社と工事主任を安衛法違反容疑で広島地検に書類送検した。8階建てビル解体工事現場で労働者が枠組み足場の部材を簡易なラックに乗せ、移動式クレーンを使ってラックに玉掛けし、地上に降ろす作業を行っていた。突然、つり荷である部材が落下し、つり荷をトラックに積み込むための準備作業をしていた労働者を直撃し、1人死亡、1人負傷となった。(H28・3・29)
新潟・上越労基署は、労災かくしをしたとして塗装業の個人事業主を安衛法違反の疑いで新潟地検高田支部に書類送検した。塗装工事現場で、移動足場に付属するはしごを昇降中に約2mの高さから転落し、左肘を骨折する労働災害が起きたにもかかわらず、自社倉庫で事故があったとする虚偽の労働者死傷病報告を提出したもの。「元請けの耳に入らないように隠ぺいした」と供述しているという。(H28・4・6)
熊本・天草労基署は、墜落防止措置を怠ったとして建設会社と同社代表取締役を安衛法違反容疑で熊本地検天草支部に書類送検した。工場設備改修工事現場で、労働者が階段を上がって2階の作業場に向かっていたところ物品揚卸口の端(高さ2.3m)から墜落し、地面に頭部を強打して死亡する災害が起きた。(H28・4・6)
岡山・津山労基署は、建設機械の用途外使用をさせたとして、防護柵の販売・施工会社と現場責任者を安衛法違反の疑いで岡山地検津山支部に書類送検した。太陽光発電所設置工事現場で、労働者が現場で使用する材料を運搬するに当たり、車両系建設機械であるブレーカを使って荷をつり上げて移動しようとしていた。突然、ブレーカがバランスを崩して、法面を約2.5m転落。労働者が死亡した。(H28・4・11)
群馬・太田労基署は、旋盤の回転部分に覆いなどを設けていなかったとして省力機械・専用機械の製造・販売を行う会社と同社代表取締役を安衛法違反容疑で前橋地検太田支部に書類送検した。機械部品のバリ取り作業を行っていた労働者が、旋盤の回転軸に巻き込まれて死亡する災害が起きた。(H28・4・14)
岡山・津山労基署は、墜落防止措置を怠ったとして電気通信工事業の会社と同社代表取締役を安衛法違反の疑いで岡山地検津山支部に書類送検した。建設工事現場で、鋼製の台の設置作業を行っていた労働者が高さ5.6mの開口部から墜落し、重傷を負った。被疑者は開口部に囲いなどを設ける措置を怠っていた。(H28・4・21)