【最近の書類送検事件】鳥取・米子労基署ほか
安全スタッフ、労働新聞の記者が全国で起きた書類送検を調査し、主な事件を掲載しました。カッコ内は、書類送検した日付。毎月1日号掲載。
鳥取・米子労働基準監督署は、労災かくしをしたとして建設会社と同社専務取締役、元請事業者を安衛法違反の疑いで鳥取地検米子支部に書類送検した。建設会社の専務は河川河口掘削現場で、労働者が負傷したのにもかかわらず「資材置場で負傷した」と虚偽の労働者死傷病報告を米子労基署に提出したもの。元請けは、虚偽の報告書と知りつつ、真実の報告書を提出するよう指導しなかった。(H28・3・3)
福島・いわき労基署は、発汗作業に関する措置を怠ったとして、建設会社と現場代理人を安衛法違反容疑で福島地検いわき支部に書類送検した。昨年8月4日、道路工事現場で労働者が除草作業を行っていたところ、体調不良を訴え休憩をとっていたが、嘔吐や痙攣の症状が現れ心肺停止状態に陥った。労働者は病院に搬送されたが到着後死亡した。(H28・3・4)
大阪・堺労基署は、フォークリフトを荷物のけん引に使用したとして小型電動機の販売会社と同社フォークリフト運転者、営業所長、運送会社運転者を安衛法違反の疑いで大阪地検に書類送検した。トラックの荷台から荷物を降ろすため、ワイヤロープを使ってフォークリフトで引こうとしていた。この結果、フォークリフトの車体が旋回し、建物の入り口シャッターの枠にぶつかり、フォークリフト運転者が全身を強打して死亡した。(H28・3・4)
山口・宇部労基署は、重機の無資格運転をさせたとして建設会社と同社土木部長を安衛法違反容疑で山口地検宇部支部に書類送検した。資材置場で工事現場から搬出したスクラップの鋼板をトラックの荷台から降ろすに当たり、運転資格を持たない労働者に解体用つかみ機を運転させたもの。運転業務をしていた労働者が重さ約900kgの鋼板の下敷きになり死亡した。(H28・3・4)
秋田労基署は合板、集成材の製造・販売会社の代表取締役と元工場長を安衛法違反の疑いで秋田地検に書類送検した。資格を持たない労働者がフォークリフトを運転し、荷崩れを起こしたために、休業4日以上となる労働災害が起きた。代表取締役は労働者死傷病報告をせず、元工場長は、資格のない者にフォークリフトを運転させた疑い。(H28・3・8)
秋田・大館労基署は、墜落防止措置を講じなかったとして木造建築業の個人事業者を安衛法違反容疑で秋田地検大館支部に書類送検した。倉庫建物の外壁下地に防水シートを貼るため、周囲の外部足場に上がって作業していた労働者が3.66m下のコンクリート地面に墜落し、同日中に死亡した。(H28・3・8)
大阪・岸和田労基署は、建設業の元請けの現場代理人と下請けの職長を安衛法違反容疑で大阪地検に書類送検した。公立小学校の耐震補強工事現場で、校舎2階のベランダ解体作業をしていた労働者が約5.7m下の地面に墜落する労働災害が起きた。現場代理人は工事用設備の配置計画の作成義務違反、職長は墜落による危険防止措置義務違反の疑い。(H28・3・8)
長野・岡谷労基署は、無資格で玉掛けを行わせたとして運送会社と現場指揮者を安衛法違反の疑いで長野地検諏訪支部に書類送検した。労働者が、道路脇で移動式クレーンを使って電信柱を積み込む作業を行っていた。電信柱をつり上げたところ落下し、労働者が下敷きになり死亡した。(H28・3・11)