【最近の書類送検事件】岩手・二戸労働基準監督署ほか
安全スタッフ、労働新聞の記者が全国で起きた書類送検を調査し、主な事件を掲載しました。カッコ内は、書類送検した日付。毎月1日号掲載。
岩手・二戸労働基準監督署は、労災かくしをしたとして建設会社と同社取締役を安衛法違反の疑いで盛岡地検二戸支部に書類送検した。防潮堤かさ上げ工事でコンクリート打設作業中、型枠が崩壊。労働者が足場から投げ出され墜落し休業災害となったものの、取締役は労働者死傷病報告を提出しなかった。(H27・9・2)
広島・廿日市労基署は、移動式クレーンの作業方法を定めなかったとして流体荷役装置の据付工事を行う会社と同社工事監督らを安衛法違反容疑で広島地検に書類送検した。港の岸壁で移動式クレーンを使って仮置きされていたローディングアームを横転させる作業を行うに当たり、労働者の配置を定めていなかった。作業中、ローディングアームをつっていたつり具が切断し、労働者が落下したアームに頭部を挟まれて死亡した。(H27・9・3)
山梨・都留労基署は、墜落防止措置を講じなかったとして建設会社と現場代理人を安衛法違反の疑いで甲府地検に書類送検した。治山工事現場で、法肩の支障木をチェーンソーで伐倒した後、長さを切りそろえる作業を行っていたところ支障木が法肩から斜面に滑り落ちた。牽引のため支障木に取り付けていたロープが労働者の足にひっかかり、バランスを崩して墜落し死亡した。(H27・9・10)
大阪・堺労基署は、プレス機に危険防止装置を講じなかったとしてプレス加工会社と同社代表取締役を安衛法容疑で大阪地検に書類送検した。圧力能力45tの動力プレスを使用させる際に光線式安全装置を取り付けるなどして、労働者の安全を確保できる措置を講じておかなければならなかったが、これを怠った。不安全な状態でプレス加工をしていた労働者が金型に手を挟まれ指を切断する労働災害が発生した。(H27・9・10)
兵庫・神戸東労基署は、労災かくしをしたとして塗装工事会社と同社代表取締役を安衛法違反の疑いで神戸地検に書類送検した。外壁塗装工事を行っていた労働者が脚立から墜落し休業災害となったものの、神戸東労基署長に労働者死傷病報告を提出しなかった。(H27・9・10)
山梨・甲府労基署は労災かくしをしたとして運送会社と同社代表取締役を安衛法違反容疑で甲府地検に書類送検した。運転者が貨物自動車の荷台で荷卸し作業中、荷台から墜落し休業災害となったが、甲府労基署長に労働者死傷病報告を提出しなかった。(H27・9・11)
山形労基署は、無資格で玉掛け業務をさせたとして石材店と同社代表取締役を安衛法違反容疑で山形地検に書類送検した。労働者が作業場の高圧洗浄機を片付けるため、つり上げ荷重1tのクレーンで玉掛け業務を行っていたところ、繊維ベルトがほどけ高圧洗浄機が落下。労働者の頭部に激突し脳挫傷により死亡した。(H27・9・16)
岐阜・関労基署は、フォークリフトの作業計画を作成しなかったとして、木材製造会社と同社常務取締役、運送会社と代表取締役を安衛法違反の疑いで岐阜地検に書類送検した。木材製造会社の労働者がフォークリフトを操作し、運送会社の労働者がトラックの荷の上で誘導していたが、バランスが崩れ、荷とともに運送会社の労働者が墜落し被災したもの。(H27・9・16)
福岡・北九州西労基署は、機械設備の危険防止措置を怠ったとして、プラスチック製品製造会社と同社工場長を安衛法違反容疑で福岡地検小倉支部に書類送検した。自動停止した産業用フィルム製造機械復旧のための調整作業に当たり、起動装置である操作盤に鍵をかけ、表示を取り付けるなどして、作業を行う者以外が運転することを防止する措置を講じていなかった。このため、近くにいた労働者が操作盤を操作してしまい、機械の一部が作動し、復旧作業をしていた労働者が上半身を挟まれ死亡した。(H27・9・17)
長崎・諫早労基署は、高さ5mを超える鉄骨部材の組立て作業を行わせる際に作業主任者を選任しなかったとして、建設会社と同社代表取締役を安衛法違反の疑いで長崎地検に書類送検した。労働者が鉄骨上部から墜落し重傷を負ったもの。(H27・9・17)
大阪・茨木労基署は、地山の掘削作業主任者を選任しなかったとして、建設会社と代表取締役を安衛法違反の疑いで大阪地検に書類送検した。宅地開発工事現場で、法面の土砂が崩壊し、被災者がその下敷きになって死亡する労働災害が起きている。なお、現場の施工を一任された個人事業者も、作業を開始する前に浮石、き裂などの点検をさせる措置を講じなかったとして送検されている。(H27・9・18)
鹿児島・加治木労基署は、スレートを踏み抜く危険があったにもかかわらず措置を怠ったとして温泉旅館経営者を安衛法違反容疑で鹿児島地検加治木支部に書類送検した。労働者が台風により破損したバス用車庫のスレートでふかれた屋根を補修していたところ、屋根を踏み抜いて墜落し死亡となった。(H27・9・25)