【裁判例が語る安全衛生最新事情】第297回 国立大学法人金沢大学事件 パワハラで職場改善せず使用者に責任 金沢地裁平成29年3月30日判決
2018.05.28
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、平成17年10月1日、被告国立大学法人Y2大学(以下「Y2法人」という)の大学院総合A研究科のB教室に助(准)教授として着任し、そのB教室の主任であった被告Y1教授の事実上の部下となった。Y1は、B教室に配分される経費につき、特定の納入業者との間で、所定の手続きに従い発注した物品・消耗品などをいったん納入させた後にその業者に引き取らせ、その代金相当額をプールさせておき、そのプール金をB教室で使用する物品・消耗品などに充てる行為(預け金行為)を行っていたが、Xは、それに加担することに悩んだ末、平成18年1月にY2法人にこの預け金行為を内部通報した。Y2法人は、平成19年3月16日付で、預け金行為を行ったことを理由として、Y1に対して出勤停止2カ月の懲戒処分をした。
Y1は、通報されてから平成27年7月31日にY2法人を退職するまでの間、Xに対してさまざまな嫌がらせ行為を継続して行い続けた。さらに、Y1は、Xから暴行を受け負傷したという虚偽の事実をY2法人に報告し、警察署に虚偽の事実を申告する内容の被害届を提出した。それらのY1によるXに対する嫌がらせ行為についてY2法人も適切な措置を講じなかった。…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成30年6月1日第2307号 掲載