【人事学望見】第1148回 申告制度めぐる裁判あれこれ 即監督権を発動する必要はない
2018.05.24
【労働新聞】
わずか3千人強の人員しかいない労働基準監督官。この人数で430万事業場に目を光らせ、5500万人の労働条件を守っているのだから、頭が下がるしかない。で、揚げ足を取るわけではないのだが、興味本位で労働基準監督署にかかわる裁判例を拾ってみた。
宿日直許可 安易に過ぎる
労基署にとっては気の毒な話といっていい。法違反の使用者ではなく、監督に過失があると訴えたのが、中央労基署長(大島町診療所)事件(東京地判平15・2・21)である。
事件のあらまし
診療所に勤務していた看護師Aが労働基準法施行規則23条およびこれに関する通達の定める許可基準が満たされていないにもかかわらず、十分な調査を行わないまま断続的な宿日直勤務の許可をし、許可後も再三にわたり調査を要求したが十分な調査を行わず許可を迅速に取り消さなかったと訴えた。…
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平成30年5月28日第3162号12面 掲載