【ぶれい考】霧の向こう側へ/諏訪 康雄
2018.05.31
【労働新聞】
「一般庶民は国家のことなど念頭になく、真実虚偽の区別もせず、因習的な迎合の才に長けていて、賛同の叫びと歓呼の声を挙げてはしゃいだ」。フェイクニュースに翻弄される現代の描写ではない。2000年近くも昔の帝政ローマ社会の一描写である(タキトゥス、國原吉之助訳『同時代史』ちくま学芸文庫)。
人びとはしばしば、みずから何かを構想したり、構築したりするよりは、誰かの奇想天外な手法や一発逆転の機会に身をゆだね、自分らを取り巻く壁を一気に取り崩したい気になる。時代の先行きをめぐり、閉塞感が漂っていれば、よりいっそう、そうだ。…
筆者:法政大学 名誉教授 諏訪 康雄
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平成30年6月4日第3163号5面 掲載