【2020年4月1日施行 民法改正と人事労務】第21回 退職の予告期間 年俸制の扱い明確に 1月前の申入れで足りる/片山 雅也
2018.06.07
【労働新聞】
前回は、民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」と労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」の違いについて解説した。民法536条2項の適用があると、使用者は賃金を全額支払う必要があり、労基法26条の適用があると、平均賃金の6割以上の休業手当を支払えば足りることになる。
結論としては、労基法26条は労働者の生活保障を図ったものであり、民法536条2項の適用範囲よりも広い範囲を捉えた規定である。具体的には、民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」は故意、過失または信義則上これと同視すべき事由を意味し、典型的な例としては、使用者による違法な解雇を挙げることができる。
一方、労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」とは、民法536条2項よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むと考えられている。地震や台風といった不可抗力までも含むものではないが、労働者に帰責事由がないところ、使用者の自主的判断によって休業させた場合も含まれ、休業手当を支払う必要があろう。
今回は、民法の雇用に関する改正のうち、期間の定めのない雇用の解約の申入れについて解説する。…
筆者:弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士 片山 雅也
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平成30年6月11日第3164号6面 掲載