【今週の注目資料】高水準の収益対比で控えめな企業の支出スタンスの背景(日本銀行)
2018.06.21
【労働新聞】
運輸業でIT人材不足
企業の収益が改善して過去最高圏に達し、設備投資が増加傾向にある。一方、中小企業を中心に、内部留保と現預金の積上げも過去最高になっている。
収益に比べ、設備投資が控えめな理由をヒアリング調査したところ、①リーマン・ショックなどのトラウマ、②人口減少による中長期的な内需の先細り、③中小企業経営者の高齢化と事業承継問題、④人手不足によるボトルネック、⑤M&Aに向けた手元資金積上げ、⑥技術革新の方向性やタイミングの不透明感、⑦設備投資の結果が出るまでのタイムラグ――を指摘する声があった。
③では、後継者に相応しい人材がおらず、中長期的な事業継続に不安を抱え、設備投資に慎重になっているとの意見も。66.5%の企業で後継者がいないという。後継者がいたとしても、承継後の自由度を確保するため、現在の投資を抑制しているケースがみられる。
④に関しては、人手を集められず新規出店を断念した小売・飲食業があった。荷物の電子管理システムを導入したいが、ITに詳しい人材がおらず、投資に踏み切れない運輸業も。
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平成30年6月25日第3166号4面 掲載