【裁判例が語る安全衛生最新事情】第301回 東電福島第1原発事故福島生業訴訟事件 予見可能な津波対策の怠りに過失認める 福島地裁平成29年10月10日判決

2018.07.26 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 本件は、全国約30カ所で審理されている福島第1原発事故の集団訴訟であり、通称「生業(なりわい)訴訟」といわれている。原告X1ら386人は、原発事故発生当時に、福島県またはその隣接県である宮城県、茨城県、栃木県に居住していたが、居住地が放射性物質に汚染されたと主張している者たちである。

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災の津波により発生したY1社所有の福島第1原子力発電所の爆発事故で、原告X1らの旧居住地が放射能に汚染されたとして、X1らが、Y1社と被告国(Y2)を相手取って、①旧居住地の空間線量率を本件事故前の値(0.04マイクロシーベルト毎時)以下にすること、②Y2には国家賠償法1条1項、民法710条に基づき、Y1社には主位的には民法709条、710条に基づき、予備的には原子力損害賠償法3条1項に基づき、平成23年3月11日から旧居住地の空間線量率が0.04マイクロシーベルト以下となるまでの間、1カ月5万円の割合による平穏生活権の侵害による慰謝料を、③X1らの一部である40人は、各自が「ふるさと喪失」による慰謝料として金2000万円などの賠償を求めた。…

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平成30年8月1日第2311号 掲載
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