【裁判例が語る安全衛生最新事情】第303回 さいたま市(環境局職員)事件 パワハラによる自殺で過失相殺が8割 さいたま地裁平成27年11月18日判決
2018.08.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、原告X1(父)とX2(母)の息子であり、平成14年7月1日に被告Y市に任用され、業務主事として小学校、中学校、高等学校に勤務していたが、同年10月には精神神経科を受診して、心因反応と診断され、さらには、拡張型統合失調症の疑いももたれた。その後、平成16年6月30日には、反復性心因性抑うつ精神病との診断を受けた。そして同年6月ころにはうつ病にり患したとして8月末まで90日間休職した。平成22年6月ころ、亡Xは再びうつ病にり患し、同年6月3日から8月31日まで90日間休職した。平成23年1月には不調ではあったものの、服薬を変更したことにより、症状は改善傾向にあった。
平成23年4月から、亡AはY市の環境局施設部Mセンターに業務主任として勤務し、計量を担当し、搬入届の受理、手数料の集計、入金・釣り銭の管理、市民からの電話窓口の対応という業務に従事していた。ところが、同じセンターの隣の席に、業務主任の先輩Bが亡Aの教育係としており、上司としてはC係長とDセンター長がいた。Bは、亡Aに対して怒鳴りつけたり、暴力を振るうこともあり、亡Aは、そのことを上司Cに訴え、Dにも伝わり、協議をしたこともあったが抜本的な対応策を採るには至らなかった。…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成30年9月1日第2313号 掲載