【企業活力向上につながる!働き方改革関連法】第19回 不合理な待遇の禁止等⑤ 業務内容・責任を区別 規定上明記するべき/石嵜 裕美子

2018.11.15 【労働新聞】
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「その他の事情」も考慮

 今回は、定年後再雇用の労契法20条の裁判例と、今後の改正法(現行パート法8条・9条)に対する実務の対応策を検討する。

 定年制は長期雇用や年功的処遇を前提とした組織運営の適正化と賃金コスト抑制の意味を持つところ、正社員の賃金体系は定年までの長期雇用を前提として設計される。高年法9条改正に伴い導入された65歳までの定年後継続雇用制度では、多くの企業で賃金コスト圧縮のために定年前よりも低い賃金を設定した。JILPT調査によれば定年前と比較した年収水準の平均値は68.3%である。このような定年後の正社員との賃金格差が労契法20条違反に当たるかが問題とされたのが長澤運輸事件である。

 今年6月1日の同事件の最高裁判決は、一般論として、定年後再雇用者には通常長期雇用が想定されないこと、定年まで正社員の賃金を受け取っていること、一定の要件の下で老齢厚生年金が支給されること等の定年後再雇用に内在する特有の事情を、20条の「その他の事情」として不合理性判断の考慮要素とできることを明らかにした。そのうえで①職務内容、②職務内容と配置の変更の範囲がいずれも同一の当該事件について、…

筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 石嵜 裕美子

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平成30年11月19日第3185号6面 掲載
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