【特別寄稿】賛同し難い「特定技能制」―技能実習制の枠組み活用を 多能工育成により対処 最長8年で必ず帰国へ/栁澤 共榮
2018.11.15
【労働新聞】
転職許可で管理不可能に
今回政府が導入しようとしている在留資格制度(特定技能制度)は、実質的には移民政策の導入といえる。しかし、国民による議論が十分になされておらず、外国人労働者の受入態勢も不十分で、社会の分断・混乱・治安悪化につながりかねない。導入に関して、次の5つの問題があると考える。
まず、特定技能2号で認められる家族の帯同について、日本語の習得教育や、住居、教育、社会福祉その他行政サービスの提供といった生活環境整備がなされていない。外国人労働者の医療保険は見直されるようだが、生活保護制度などの不適切使用に対する防止策も講じられておらず、社会保障費増加への対応等就労環境整備の準備も不十分である。
次に、人材不足が深刻な分野の就労においては、単純労働に従事するケースが多いと想定される点が課題である。結果として、職業間の棲み分けや、社会的階層分化が起こる可能性が高い。不況時の対応も考慮しなければならない。
3つ目として、許可された活動の範囲内とはいえ、転職を認めると、…
筆者:公益財団法人 国際人材育成機構 会長 栁澤 共榮
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平成30年11月19日第3185号7面 掲載