【人事学望見】第1172回 懲戒処分と懲戒解雇は大違い 極刑だけに超慎重となる裁判例
2018.11.22
【労働新聞】
退職金や解雇予告手当を惜しんだわけではなかろうが、一部経営者のなかには懲戒解雇を非違行為に対する普通解雇と同列にみなすムキがある。実際には、裁判例をみても分かるように両者は、似て非なるもの。安易に発動すると社員の信用と金と時間を失ってしまう。
運賃横領を実証できない
経営者にとって、なぜ裁判所はこうも頭が固いのか、と不信感を抱きそうな判例は少なくない。琉球バス事件(那覇地判平10・12・2)もさしずめその1つといっても良さそう。
事件のあらまし
バス等の一般乗合旅客運送業を営むY社から嘱託運転手として採用され、路線バスに乗務していたAが、運賃箱が正常に作動しなかったため、運賃を運賃箱に入れずに乗客から直接手で受け取り、私物の小物入れに入れた。また、乗客から受け取った千円札を四つ折りにして運転席に座ったまま右大腿の下に挟んでいた行為が、運賃横領に当たるとして、懲戒解雇処分を受けた。…
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平成30年11月26日第3186号12面 掲載