【裁判例が語る安全衛生最新事情】第310回 東京電力避難民事件① 事故後の避難の苦痛で高額賠償認める 東京地裁平成28年5月25日判決
2018.12.10
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
本件は、東日本大震災および福島第一原発の爆発事故により、入院先の施設から、急きょ移転を強いられて死亡した亡Aの遺族X1ら5人が、原発事業者で福島第一原発の所有者で原子力事業者である東京電力ホールディングスに対して、原発事故がなければ移転を強いられることがなく、そうすれば亡Aは死亡しなくて済んだということで、原子力損害賠償法3条1項本文に基づいて、損害賠償請求をした事案である。
亡Aは、平成23年3月11日の震災当時に、福島県双葉郡大熊町所在の双葉病院に入院していた年齢97歳の男性であった。なお、双葉病院の隣接組織として病院系列の介護老人保健施設ドーヴィル双葉があった。亡Aは、高度の認知症で寝たきりであり、言語によるコミュニケーションは困難であった。また、糖尿病および高血圧が認められ糖尿病に対してはインシュリンが投与されていた。そのうえ、尿路感染症によると考えられる発熱が度々認められたためその都度抗生物質が投与されていた。…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成30年12月15日第2320号 掲載