【裁判例が語る安全衛生最新事情】第312回 東京建設アスベスト控訴審事件① 規制不行使が違法なら一人親方も対象に 東京高裁平成30年2月14日判決
2019.01.09
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
本件は、建築物の新築、改修、解体作業等に従事した作業従事者またはその相続人である原告X1ら(控訴審結審時は354人)が、その現場で使用された石綿含有建材から発生した石綿粉じんにばく露したことによって石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚)にり患したとして被告国と被告建材メーカー企業42社を訴えた事件である。
被告国に対しては、石綿含有建材についての規制権限を有していたとして、規制権限を行使しなかったことをもって、国家賠償法1条1項の責任を求め、被告企業に対しては、石綿含有建材を製造販売していたことが石綿ばく露の原因であったとして民法719条1項前段または後段の共同不法行為の規定により、または製造物責任法3条による石綿含有建材を製造販売していた企業に対しては損害賠償責任を追及した。
一審判決(東京地裁平成24年12月5日判決)は、被告企業に対する請求をすべて棄却するとともに、被告国に対して約金10億6400万円の賠償を命じたが、本件はその控訴審である。
今回は、そのうち、被告国の責任について紹介する。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成31年1月15日第2322号 掲載