【人事学望見】第1183回 幅広い裁量権と人事考課 顕在能力よりも標準性に重きを
2019.02.21
【労働新聞】
人事考課は、賃金や配置・昇進等の大切な処遇の決定に重要な役割を果たしている。評価制度のなかでも、最も労働紛争が多く、労働法学の主要な検討対象とされてきた。判例は、一貫して人事考課の法的根拠を使用者の裁量権に求めてきている(柳屋孝安関西学院大教授)。
残業拒否で寄与度認めず
会社は必ずしも才気煥発な社員を求めているわけではない。メディカルシステム研究所事件(東京地判平11・9・21)は、社員評価の基準を「標準的」に求めてトラブルに発展した事案である。
事件のあらまし
Aは、医療システムの開発等を業とするY会社に、大卒のホルダー心電図解析技術者として採用された。同社は職能資格制度を導入しており、J級(一般職能3等級)、S級(中間指導職能3等級)、M級(管理職能5等級)等で構成されていた。大卒者は、J3等級に格付けし、多くは3年在籍でS1等級に昇格させていた。ところがAは、入社時にJ3等級1号に格付けされてから、8年間かけて同等級9号まで昇級したものの、S等級への昇格はなかった。…
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平成31年2月25日第3198号12面 掲載