【リレー方式紙上討論 解雇無効時の金銭救済】第8回 安易な解雇で損失 社保制度とのリンクも(2)/倉重 公太朗
2019.02.28
【労働新聞】
前回述べたように解雇の金銭解決については、神学論争のような対立構造がある。感情的な対立についてはさておくとして、今回は金銭解決への懸念を、どう克服していくかについて述べてみたい。
1社で終身雇用はリスク
金銭解決論に対して良くある懸念については、①無用な解雇を招く、②和解水準が低下する、③労働者の地位が弱くなるなどがある。これらに共通する根本思想について言及しておきたい。
そもそも、これらの懸念は「終身雇用が素晴らしい」との価値観に立っている。不確実性が高い現代社会においては、「1社で終身雇用」との考えがむしろリスクになることすらある。流動性を高めて労働市場全体での終身雇用を考えるべきだ。…
筆者:倉重・近衞・森田法律事務所 弁護士 倉重 公太朗
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平成31年3月4日第3199号10面 掲載